海に行こう


final story 絆
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「俺…かっこわりー」


しばらくして、佑志は口を開いた。


「ほんと、かっこわるいよ」


「なっ―――「でもあたしは、かっこつけてる佑志よりかっこ悪い佑志のほうが好きだよ」


しゃがみこむ幼馴染に抱きついて、耳元で囁いてやった。


「あーうん」


カチャ…っと金属音がして、鎖骨の辺りにひやっとした感覚を覚える。


佑志が立ちあがった。


よろけながら“それ”を確認すると、花がついたかわいいネックレスだった。


「え・・・」


「でもやっぱ、かっこいい俺がいいの」


べーっと舌を出して、意地悪そうに言う“かっこいい俺”。


せっかく泣きやんだのに、また目がうるんできた。


「ばか…かっこいいよ」


「知ってる」


そういうと、佑志はあたしの涙をぬぐって


ちゅっ


と優しくキスをした。


もちろん、唇に。





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