海に行こう
「てかお前、沁織狙ってたの?」
「おぅ!かわいいし、今時こんな純粋でかわいくて染まってない奴はいないね」
「染まってないって、なにに?」
かわいくはないけど、そんなふうに思っててくれてたんだね、雄。
「ちょ、お前そこはきくな。きいてもわかんねぇよ」
「えーなんでなんで。佑志はわかるの??」
「まぁそれはおいといて!沁織ちゃんも人のもんになっちまったし、櫻井でも狙うかぁー」
ポン、と乃ノ歌の肩に手を置き、彼女の顔を覗き込む雄。
軽ッッ!!
さっきの感動が半減したよ…。
「ざんねんでしたぁー」
満面の笑みで、優しく雄の手を元に戻す乃ノ歌。
え?どーゆーこと??
「うちには雄の100万倍か~っこいい大学生の彼氏がいるんですぅ―」
…
「はあああああ??!!」
ちょ、きいてない聞いてない!!!
「だって、言ってないもん」
そんなサラっと!
「おれ、こういう運命なのかなぁ…」
落ち込む健を、誰も慰めたりはしなかった。