海に行こう

あたしは海が好きだ。


波の音を聞くと佑志と毎日のように遊んでいた日のことを思い出す。


「はぁ―…」


「どうしたの、沁織。はやく並ぼ?」


物思いにふけっていると、乃ノ歌に肩をたたかれた。


「早くしないと入学式はじまっちゃうって、ほら!」


「え?あ、うん、ごめん」


いつの間にか教室には人がまばらにしかいなくて、みんな体育館へ行くため廊下に並んでいた。


乃ノ歌に手をひっぱられ、机に足とかをぶつけながらも廊下へ急いだ。


男女別れて名簿順に並ぶと、男子の真ん中のあたりに彼はいた。


もう友達ができたようだ。わーきゃー騒いでる。


しばらくそっちをむいていると、後ろの子に「早く行ってよ、進んでるよ?」と注意されてしまった。


「ご、ごめん」


その子に謝って、駆け足で前を歩く子を追いかけた。


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