海に行こう



「ねぇ、明後日って父の日だよね…みんな、なんかする?」


乃ノ歌の家族は、すごく仲がいい。


温泉に行ったりとか外食したりとか…ご両親は美男美女で今でもらぶらぶだし、本当に理想の家族だ。


「俺は…うーん…久しぶりにキャッチボールとか?」


「ははっうけるー亮太キャッチボールなんかできんの?」


「できるし~菜々子と違ってな!!」


「な、うちは亮太と違ってコントロールいいんですー」


菜々子は消しゴムを投げつけた。


「ちょ、いてーなおい」


二人はいつもこんな感じで、くっつくのもそう遠くないんじゃないかなって思う。


「はいはいらぶらぶしないのー夫婦喧嘩は家でやりなよ、新婚さん」


「ちげーよ!!佑志はなんかするの?」


「!!!」


佑志の顔色が変わった。多分あたしも。


実は、佑志のご両親は離婚していて、それは佑志とあたししか知らない。


地雷踏んだ…よ…。


「ゆ、佑志のお父さんは単身赴任で海外にいるんだよね!!」


ケンカのあとの仲直りはまだだけど、佑志が苦しそうな顔になるのをほっておけなかった。


大事な幼馴染、だから。


「・・・あぁ、そうそう。めったに会えないんだ」


乗り切った・・・か?




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