執事と共にお花見を。
「貴方が、大切にしたものよ」

「綺麗だ……」


――その瞬間、全てを巻き上げるかのような風が起こった。


桜の花びらが、渦を捲いて舞い上がる。


「あっ……」


深紅の花びらも、その風にさらわれて舞上がる。

おそらく、葉もつけられないほど弱りきった枝はもう二度と花を咲かせないだろう。
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