執事と共にお花見を。
「そんな辛気臭い顔してりゃ、友達もできんわな」


と、恵理夜を睨むその目は白く濁っていた。

白内障を患っているのだろう。

しかし、その眼力は衰えない。


「こんなところにおらんで、友達の一人でも連れて遊びに行っちまえ」

「それだけ鼻息が荒ければ、もう低血圧で倒れる心配はないわね」


そう言って、恵理夜は立ち上がった。

老人は、もう何も答えない。

なんとなく負けたような悔しさを抱えながら、恵理夜は公園の出口へ向かった。
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