執事と共にお花見を。
「よく、ここがわかったわね」

「昨日のことがありましたからね」

「わざわざ迎えに来てくれたの?」

「所用を済ませた、帰り道ですから」


と、春樹は恵理夜のために、白い手袋をつけた手でドアを開いた。


「随分と、態度の穏やかでないご老人でしたね」

「聞いていたの?」

「盗み聞きするつもりはなかったのですが……」


バックミラー越しに詫びながら春樹は車を発進させた。
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