執事と共にお花見を。
「あの桜、近くで見てみましょうか」


春樹は先立って老人の見守っていた桜の木の下に立った。


「随分と、痛んだ桜の木ですね」


他のソメイヨシノに比べると、随分と老木になっていた。

随分古くから傷つけられたのだろうか、たくさんの傷跡もあった。


「樹液でも採取しようとしたのかしら」

「それにしては、間隔が広すぎると思うのですが」


樹液を採取するときに似た傷が幹につけられていた。

しかし、春樹が言うように、傷の間隔は5センチ以上。

樹液採取、というような傷ではない。
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