執事と共にお花見を。
「そろそろ、帰りましょうか」

「待って、そこ……」


公園の出口、ガードレールのもとに瓶がくくりつけられていた。


「献花の後、かしら」


小さな花を添えるのに丁度いい瓶が、朽ちているのがわかった。


「ここで、事故でもあったのでしょうか」


恵理夜は、老木と化した桜と、その向こうの老人を静かに見つめた。
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