執事と共にお花見を。
その呟きに気付いたのか、老人が目線を上げ、恵理夜の姿を捕らえた瞬間、


「毎日飽きずによく来るわい」


と、言い放った。


「あら、桜を見に来ているだけよ」

「こっちの桜は咲かんぞ」

「知っているの?」

「お前の目は節穴か。見ればわかるじゃろうが」


いちいち言葉の使い方を知らない話し方をする老人だった。
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