執事と共にお花見を。
「それで、どうして咲きもしない桜の木の下に毎日座っているのかしら」

「……咲くのを待っとるだけじゃ」


語気が柔らかくなる。


「どうして、咲かない桜の開花を待っているのかしら」

「詮索好きの小娘じゃの」


つっけんどんない口調に、恵理夜はため息をついた。

よほどこの老人は自分と話したくないのだろうか、と思う。
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