執事と共にお花見を。
「見ろ」


老人は、白く濁った目を弱々しい蕾に向けていた。


「他の桜の蕾とは、色が違うだろう」

「よく見えるわね」

「年寄りの目を馬鹿にするでねぇ」


と、にやりと笑った。

恵理夜は、急に親近感を覚えた。
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