執事と共にお花見を。
「そういえば、あのご老人は最近、私たちと同じ病院に通い始めたようです」


病の関係で、恵理夜や春樹は町の中の最先端医療をそろえる病院に定期的に世話になっていた。


「確かに、眼科治療も進んでいるみたいだものね」

「それからお嬢様。もう一つ、気になっているようでしたのであの献花についても調べてまいりました」

「あら、どうやって?」

「病院のそばにある花屋の店主様がご存知でした」

「この近くのお花屋さんは、あそこだけだったものね」


春樹が入院したとき、そしてホワイトデーにお世話になったあの花屋だ。


「それで?」

「かなり昔に、あの場所で子供が交通事故で亡くなったそうです。それで、その母親が、10年前まで花を添えていたとか。ですが、その女性もつい最近亡くなったそうです」

「そうだったの……」


恵理夜は、それ以上の会話を続けようとしなかった。

人が亡くなった、という話を恵理夜はあまり聞きたがらない。
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