執事と共にお花見を。
「もー、早く行くよ」


別の女子が、ジュースを持った女子の肩を叩いた。


「きゃあ」


大げさな声とともに、ジュースがこぼれる。


「あ、ごめんね」


恵理夜の膝に、ジュースがかかる。


「もう、急に叩くから零しちゃったじゃない」


恵理夜の口が、無意識に動く。


「嘘」

「え?」


女子生徒の表情が固まる。


「ううん、なんでもないわ」


恵理夜は微笑んだ。

思わず、勘が声を上げてしまったのを隠すように。


「ホントに、ごめんね」


謝るつもりもない口で謝りながら少女たちは去って行った。
< 63 / 128 >

この作品をシェア

pagetop