執事と共にお花見を。
確かに、その通りだったかもしれない――と恵理夜は息を呑んだ。

子供だけ遊んでいる現場を見たいなら、桜を背にした方が公園の広場に面してよく見える。

しかし、あの老人は桜と、少しはなれて子供を見守る母親が見えやすい公園の出口方向を向いて座っていた。

そして何より――


「待っている人は、女性のような気がするのよ」

「それはまた、どうして?」

「男性や、子供を咲かない桜に例えるのは、少し儚すぎる気がするもの」


それは確かに、と春樹は肩をすくめた。
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