誰についてく?
公園に着くまでしっかり信吾と手を繋いでいた綾香だったが、公園に一歩足を踏み込んだ時点で、パッ!と放してブランコへと駆け出した。
そして、ブランコに座るや否や、
「お兄ちゃん、早く来て押してっ!」
と、信吾に、呼びかけた。
すでに綾香が、主導権を握っていた。
信吾は言われるがままに嬉しそうにブランコに座っている綾香の背中を押してやった。
「それっ、それっ」
「わーーいっ。もっと、もっと」
「しっかり、握ってなきゃダメだよ」
「うん、大丈夫。もっと押してっ!」
綾香に促されて信吾は思いっきり綾香の背中を押した。
すると、すぐに、
「もういいっ!」
と、綾香が大声で叫んだ。
びっくりして信吾は、綾香が気分でも悪くなったのかと思い、
「大丈夫かい?」
と、ブランコをピタッと止めた。
あまり強引に止めたので綾香は落ちそうになってしまった。
「危ないじゃないのっ」
綾香は信吾に忠告すると、
「もう、ブランコは終わりなの。砂でお山作るの」
と、砂場にスキップで行ってしまった。
「…」
呆然としている信吾に、すでに砂を盛り上げ始めている綾香が、
「お兄ちゃんっ、早く来てよっ。おっきなお山作るんだから」
と、呼びかけた。
「…あ、はい、はい」
気を取り直して信吾が小走りで近寄ろうとすると、
「ダメっ!」
と、綾香に叱られた。
「え?何?」