誰についてく?
信吾3−2
信吾と綾香は山を作り続け、かなり大きな砂山が出来上がった。
「お兄ちゃん、トンネル作って」
綾香は、立ち上がり、砂山を見つめて、信吾にそう言った。
「よし。じゃ、お兄ちゃんがこっちから穴あけるから、綾香ちゃんは、そっちからあけてごらん」
「いやっ!!」
「……どうじで」
「だって、お洋服が汚れちゃうもんっ!!」
と、胸を張って言い切った綾香の白いブラウスはすでにドロだらけだった。
「…分かった。お兄ちゃんが作ろう」
信吾は、せっせせっせと汗をかきかき穴を掘った。
そしてついに、
「出来たぞっ!」
と、腕をぐっとトンネルに通して見せた。
「わーいっ!!」
と、綾香はパチパチと手を叩いて喜んだ。
信吾が満足気にトンネルから腕を抜くと同時に、綾香が、
「大きなお山をひとっ飛び~っ!!」
と叫びながら、ドンネルを飛び越えた。
…はずだったが、着地したのは、お山の頂上だった。
グシャ…の音もなく、砂のトンネルは、あっという間に不通になってしまった。
「あ…」
さすがの綾香も思わずそのままお山の上に立ち尽くしてしまったが、
「砂って、壊れやすいのよね。お団子だってすぐ壊れちゃうもの。お兄ちゃん、そろそろ帰ろ」
と、すっかり元気のない信吾の手を引っ張った。
「…ああ、帰ろう」
信吾はなんとなくホッとした。
二人は、来た時と同じように手を繋いで公園を出て家へと歩き始めた。
途中、細い道で、チリチリチリっとベルの音がして少し避けて立ち止まると、小麦色に焼けた男の二人乗りの自転車が横をすり抜けて行った。
このまま信吾を追う方は、
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二人乗りの自転車を追う方は、
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