誰についてく?
信吾3-3
「あっ!二人で乗ってるっ!二人で乗っちゃダメだって、相葉先生が言ってたのに」
「相葉先生って?」
「知らないの?綾香たちゆり組の先生じゃないの」
「あっそう」
家に着くと昼食の用意が出来ていて、皆で揃ってワイワイと話しながら食べた。
そして、夕食の準備を始める前におばさん夫婦と綾香は帰ることとなった。
「また、いらっしゃいね」
と、信吾の母。
大人たちが別れを惜しんでいる時、信吾の手をギュッと握った小さな手があった。
「お兄ちゃん」
「ん?」
信吾は、見上げている綾香の顔を見た。
「どうした?」
「今日楽しかったね。綾香、大きくなったら、お兄ちゃんのお嫁さんになってあげるからね。待っててね」
「……ありがと」
「またね、バイバイ」
綾香は、帰る車に乗り込んだ。
「ばいばい…」
ブォーンっと、綾香を乗せて車は帰って行った。
「あ、あいつの言うことなんか、信じらんないっ」
と、思いつつ、あの顔なら、きっと美人になるだろうなぁなどと思い描いて、ふと笑ってしまう信吾であった。
−信吾・完−