誰についてく?
悟郎3-3
「あっ、すみません」
悟郎は慌てて、頭をひょこっと下げて謝った。
「あ、いいよ、いいよ」
そう言ったサングラスの下の痛そうな顔には気づかず、悟郎はもう一度、
「すみません」
と、頭を下げた後、ロビーの窓に走りより、ピタッと手をつき窓に顔を寄せた。
「…あの飛行機堕ちたら、杉本、もう僕の顔見れないんだよな。もうちょっと早く来てやれば良かったな…」
だんだん飛行機が小さくなっていく。
「…1年したら帰って来るんだから、いっか」
悟郎は、自分に言い聞かせるようにつぶやくと、ゆっくり歩いて、空港を後にした。
―悟郎・完―