誰についてく?
「大丈夫だって。ここに来てやしないって、松浦は。だから見つかんないって」
「なんで、そんなこと分かるんだよ」
「だってそうだろ。真面目な松浦宏子が今お前と会ってないわけだから、今頃は家か図書館で勉強してるよ、きっと」
それは確かにそうだと、克幸は思ってしまった。
「それにさぁ、たった一人の女に硬派なとこがいいって言われたからって、硬派になりきる事ないだろ?もしかすると、百人の女は克幸の軟派なとこがステキっとかって思ってるかもしんないし」
渡辺の正論を述べてるような説得力のある言い方に、克幸もだんだん顔が緩んできた。
「だいたい、まだ、一人の女にこだわる歳じゃないだろ、俺達。いろんな子とつきあってみる方が、いい青春の過ごし方だと思うけど?」
「そりゃあまぁ…」
「っだろ?ほら、見てみろよ。かわいい子がいっぱいだぜ」
渡辺につられ、克幸も振り返って海を見る。
確かに水着の女の子がたくさんいる。
と、いうより、水着の女の子しか目に入ってこなかった。
「ナンパしたって、松浦に見つかんなきゃ、別れる別れないの話にはなんないだろ?」
「そりゃ、まぁ、見つかんなきゃなぁ」
「だろっ。さぁ、克幸くんっ。ティーンエイジャーの夏を楽しもうぜっ!」