誰についてく?

武志3−3


「ここを左だな」

武志は信号まで来ると渡らずに左に曲がると間もなく図書館が見えてきた。

「あ、あった、あった」

やや古びた図書館がでーんっと建っている。

武志は深呼吸をして少し緊張しながら中へ足を踏み込んだ。



「へー。図書館で勉強する人って結構いるんだな」

中には中学、高校生を中心におばさんや小学生、小さな子供を連れているお母さん、サラリーマン風の男の人など、武志が思っていた以上に人が多かった。

「けど、やっぱ、静かだな」

図書館という場所柄上、人は多くても、し〜んと静まりかえるというほどでもないが、確かに静かだった。

そんな中、武志はじーっと目を凝らして館内を見渡した。

「…いないなぁ。上かな」

武志は階段を音をたてないようにゆっくり上った。

2階は下ほど人はいない。

武志はもう一度、じーっと見渡した。

「あっ、いた」

地理に関する分厚い本が並べてある本棚の前に座って、何かをしきりに書き写している、おかっぱ頭の女子を見つけた。
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