誰についてく?
和也3−2
「あっ、すみませんっ」
ぶつかって来た男は立ち止まってひょこっと頭を下げた。
「あっ、いいよ、いいよ」
「すみません」
男はもう一度頭を下げると窓の方へ走って行った。
和也は、笑ってその後ろ姿を見ていたが、気を取り直して歩きはじめるときには、
「ばかやろっ。買ったばっかの靴、踏むんじゃねーよ。あー、いってー。帰ってくるなりロクなことねーな」
と、ぶつぶつ言いながら、空港を後にした。
「日本はなんかセコセコしてんなぁ」
と、人混みを歩きながら呟く和也は、クイズ番組にハガキを出して当たった
『アメリカ西海岸の旅・3泊4日』
から帰って来たところだった。
「さて、何処行くかな」
和也はあてもなく歩きはじめる。
「あっ!」
歩いてると遠くに見覚えのある女を見つけた。
和也が歩み寄ろうとすると、和也より先にその女に近寄った男がいた。
それに気づいて和也は足を止めた。
その男は女に一言二言言うと、女の肩に手をかけて二人で歩きだした。
「な、なんだーっ、あの女っ。誰だよっ、あの男はっ!あーっ、女の言うことなんか、信じられないっ」
男と行ってしまった女は、和也の元カノだった。