ティッシュに涙と少しの残骸
そう、星流はほんとに可愛いから。カフェオレを通学バッグに仕舞いあたしも一応チェックする。
彼奴のコンビニから近い公園へ行きしばらく待った。黒の車体が遠くで鈍く光ったのが嫌でも判ってため息が出そうになったのを飲み込んで星流に教えた。

【竜弥くん来た♪行こう】

ウキウキしながらスカートの裾を直す星流を引き止めた。

「星流待って」
【どうしたの?早く行こうよ】

あたし、今、大切なひとを傷つけるんだ。
この一言で。

「竜弥くんと別れて」

もともと大きな目がもっと大きくなって表情が強張っていくのが瞬時に判った。

【な……なに…】
「誕生日プレゼント、竜弥くん貰ったから」

泣くな、泣くな。踏ん張れ、あたし。

「おい、いつまで待たせるんだよ!」

車で待ってたが痺れを切らしてタイミング良く此方へ駆けてきた。

「竜弥くん♪今行くとこ」

これ以上星流を見れなくなったあたしは傍に来た彼奴の腕を掴んだ。

「やめろよ。星流、おいで」
【…いつから?】

背後から聞こえた星流の悲しくて苦しくて切ない声に目頭が熱くなった。
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