ティッシュに涙と少しの残骸
唇をぎゅっ、と噛み涙を堪えて腕を組んだまま振り返り、星流の胸元を見て

「二人が付き合って1ヶ月目くらいから」

嘘を、吐いた。
だって付き合ってすぐなんて言えなかった。これ以上星流を傷つけたくなかったから。

「真雪!?お前っ!」

ああ、名前を呼ぶな。お前に言われると虫酸が走るんだよ!
無理に笑顔を作り、彼奴とみつめあう。

「なんで今日言うんだよ!冬休み入ってからって約束したじゃん」

そう、3日前メールで彼奴から告白されたんだ。冬休みになったら星流と別れるから付き合おう、って。順調に計画通りに進んでほっとしたあたしは誕生日を口実に早く星流からこいつを引き離したかった。

「だってもうすぐ誕生日だから星流から竜弥くんプレゼントして貰うの」
「俺は物じゃないって」
【真雪…騙してたのね…?た…つみくんも】

掠れた声であたしを責める星流。許せなくてもいい、憎んでもいいから。

「騙される方が悪いんだからね。それに竜弥くん星流に不満だってゆってたし」

ほんとはこんな事言いたくないのに。今にも倒れそうな星流を抱きしめたくて左手の拳を爪が刺さるくらい握りしめる。
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