ティッシュに涙と少しの残骸

｢タケ！｣
『お―』

侑一が飛びかかって来て危うく美葉にぶつかるとこだった。

『いてぇって！』
｢手袋返せぇ！｣
『しつけぇ。ほら』

ネイビー色のトートバッグから侑一の手袋を投げて渡したら文句を言われた。そんな様子をクスクス笑いながら美葉は楽しそうに見てる。
俺達は医大生で侑一とは高校からの友人だ。美葉は大学で知り合い、選考クラスが同じでお互い惹かれ合って付き合いだした。

｢タケまた背伸びた？｣
『さあな。これ以上身長いらねぇから侑一にやるよ』
｢なんだよ！小さくて悪かったな！！｣

侑一の頭を撫でくり回しながら軽く押してやる。

｢ユウ君は標準サイズだよ。猛が大き過ぎなの｣

確かに、186㎝は標準とは言えない。侑一は176㎝だから俺とは10㎝も違う。美葉は156㎝だから俺と並べば巨人と小人みたいな感じだ。

｢美葉ちゃん優しいなぁ♪オレも彼女欲しい～｣
｢紹介しよっか？｣

誕生日に美葉からもらったブルーのＧショックで時間を確認してそろそろ始まると告げたら侑一が美葉にあとで詳しく聞かせてくれと頼んで走って行った。