ティッシュに涙と少しの残骸
美葉の隣に座りノートと本を出す。ちらりと目を左方向にさりげなく移行すれば自ずと頭も一緒に動いた。
右耳に髪をかけるのは美葉の癖だ。クリスマスにプレゼントしたダイヤの星の形をしたピアスが俺の瞳に反射した。
小さいけど本物だ。結構な値段したしな。あの時の美葉のはしゃぎ様は忘れられない。
俺の視線に気付き、ノートの端っこに“なに?”と書いたので美葉のノートの端っこに“みよがかわいいから”と書いたら照れたらしく前を向き律儀にノートを書きうつし始めた。
勉強しなきゃ
勉強…
勉強…
医者にならなきゃ



午前の受講が終わり午後からは自由だ。

「猛帰るの?」
『家で勉強してるよ』
「じゃオレ美葉ちゃん送ってくわ」
『頼むな。じゃ』
「猛!」

2人に背を向けたらネイビー色のトートバッグを美葉が掴んだ。

『どうした?』

優しく問いかける。

「…あまり根詰めないようにね」
『侑一、終わったら美葉俺ん家まで送ってくれ』
「了解!ジュース奢りな」
『また明日な』
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