ティッシュに涙と少しの残骸
【猛!ちー助!おはよう】
『おはよう』

ワンワンッ

昨日此処を下見した日の夜に猛にお誘いメールをして私たちは今桜並木の真ん中に居る。
日曜の早朝はまだ人もまばらで犬の散歩やジョギングをしてる人たちが足早に過ぎてゆく。

『いい天気だな~あ…』

猛ってばおっきな口をますますおっきくして私の拳が入りそうなくらいに目一杯口を開いて文字どおりの大欠伸をした。

【こら、欠伸しないの。こっちだよ】

眠いのはこっちなんだからね。早く起きてお弁当作ったんだから。張り切ってちょっと作りすぎちゃったけどね。

【どお?絶景スポットでしょ?】
『お―!すげぇな』

さあっと風が吹き桜木を揺らして花びらを空の彼方へと連れてゆく。どこまでも蒼く拡がる空と淡紅の桜が目眩がするほど美しい。

【いつもの河原でもよかったんだけどね。たまにはいいでしょ?】
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