ティッシュに涙と少しの残骸
数学の教科書を閉じたらタイミングよくチャイムが鳴った。スカートを翻して部屋を出る。

「星流…久しぶり、だね」
【由紀、いらっしゃい。なんか飲む?】

ドアを開け玄関で会話をしてみた。なんだか変に照れくさい。キッチンからポカリとグラスを持ってきてリビングで待っている由紀の前に置いた。

「ありがとう。星流、制服…」
【うん、なんか着たくなっちゃってね】
「学校、行くの?」

ポカリを一口飲んで私の目を真っ直ぐ見て聞いてきた。

【行くよ。真雪の分も勉強するって決めたんだ】
「よかった、みんな待ってるよ。星流が戻ってくるのずっと待ってたよ」
【由紀…。遅くなってごめん】

ふたりで抱き合い、涙をこぼして、泣いた。
< 148 / 248 >

この作品をシェア

pagetop