ティッシュに涙と少しの残骸
財布の中身を確認してから星流にラーメン屋に行こうと提案すると

【暑いのにラーメン?】

と怪訝な顔で抵抗されたが今の時期つけ麺や冷やし中華もやってると促したらしぶしぶオッケーしてくれた。
俺の中で一番うまいと思う店に星流を連れて行くことにしたけど店長にひやかされるだろうな、と覚悟を決めた。美葉とは行ったことはなかった。なんて今更こんなこと考えても仕方ないのにな。
小汚ないのれんを分けて星流を先に店内へと入れると相変わらずのでっかい声で店長が、らっしゃい!と迎えてくれる。
テーブル席に座り星流にメニューを手渡す。お昼の時間帯にはまだちょっと早いから客は俺たちとひょろ長い学生がひとりカウンターで味噌ラーメンをすすってるだけだ。

「よぉ、彼女連れかよ。見せつけてくれるじゃねぇか」

氷の入ったグラスを運んできた店長が案の定からかってきた。苦笑しながらグラスを受け取り星流の左側へと置く。

【すみません、塩ネギチャーシューください】
『ばっ!?なんで高いやつ頼むんだよ!』
「さすがだね。猛はなんにすんだ?」

ため息を吐いて左手で頭を抑えて一番安い醤油ラーメンを頼んだ。
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