ティッシュに涙と少しの残骸
『そうだったんですか』
「ええ、先生そっくりね」

星流が四つん這いで赤んぼみたく俺たちのそばまで這ってきて会話に加わった。

【何!?猛のお父さんってお医者さんなの?】
『母さんは看護師なんだ』

星流はあぁ、と首を縦に振り納得したらしい。

【だから医者目指してるんだね】
「そうなの?すごいわね」

…両親が医療関係の仕事してるから医者を目指すのが普通なのか?医者になることがすごいのか?
そもそも俺はなんの為に医者になりたいんだ?

兄さんの為?
違う

両親の期待に応えたいから?
違う?

じゃあなんで?

俺って
なんだ?

【おばさんあの家売っちゃったの?】
「ひとりだと広すぎるからね。星流ちゃんから電話くれた時嬉しかったわ」
【また来ます。ねっ、猛】
『俺そろそろ…』
「あら、またいらしてね」

スニーカーを履いて一礼をして家に向かった。
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