ティッシュに涙と少しの残骸
そっと椅子から離れ猛の隣に座る。俯いたままじっと膝の上に置いてる手に自分の手を乗せた。

【猛はふがいなくなんてない。ただ他のひとよりも抱えてる悩みが大きいだけだよ】

私より大きい猛が今は小さな仔犬みたく見える。ゆっくりと顔をあげて目と目を合わせた。潤んだ瞳が揺れた…刹那。
ごつい腕の中に吸い寄せられる様に抱きしめられた。猛の中にすっぽりと収まってしまうくらい身体の大きさが違う。

『星流ごめん…、しばらくこうさせてくれ』

静かに頷いてスカートの裾を握った。ちょっぴりびっくりしたけど猛なら大丈夫だ。耳元で猛の心臓の音が聞こえる。
ドクッ、ドクッ、ドクッ

規則正しい音になぜか安心を覚えて瞼をおろす。男のひとって固いんだなぁ。抱きしめられるのって心地いいんだなぁ。
でもきっと誰でもいい訳じゃないよね?猛だから、なんだよね?
クーラーの効いた適温の部屋で猛に抱きしめられて私は…
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