ティッシュに涙と少しの残骸
【え…?】

無理やり笑顔を作って由紀は続ける。

「真雪のお葬式終わった日に言われたの。だから卒業したら引っ越しするんだ」

どこにいくの?って聞きたいけど声が出てこない。

「いきなりごめんね。話せるタイミングなかなかなかったから」

立ち上がって部屋を出ていこうとした由紀の右手首をとっさに掴んだ。

【泊まっていく?由紀まだ平気でしょ?】
「…じゃあ荷物取りに一回帰るね」

語尾がわずかに掠れていたけど知らないフリをして由紀に手を振った。ドアを閉める時に小さな声で“ありがとう”って聞こえた気がしたんだ。
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