ティッシュに涙と少しの残骸
【侑一さんが言ってたことって、ほんとなの?】

いきなり話の核心に触れられた。

『精神科目はほんとだよ。前に兄さんのこと話したろ?』
【猛が精神科目指してるのってお兄さんのためなの?】
『そうだよ。自分の為でもあるんだ』

ぶかぶかの黒のナイキのTシャツに俺が穿けばハーフパンツになるのに星流の場合は膝がすっぽり隠れてる。息を大きく吸い込んで頭をあげたら豊かな黒髪が揺れて右頬にはりついた。

【私を実験台にしてたってことも、ほんとな…の?】
『違う!!』

自分でも驚くくらいの大声が出た。星流には誤解されたくないから。ひと吹きしたら零れそうなくらいにおっきな目に涙をためて口をへの字に結んでる。
そんな星流が愛しくみえて思わず抱きしめた。
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