ティッシュに涙と少しの残骸
「月下さん、お加減いかがですか?」
「昨日よりは気分がいいです」

担当の田村さんが検温を済ませて病室から出て行った。私は寝返りをうって窓から外を眺める。曇った空を腫れた目で見上げる。窓枠のアルミサッシが冷たく光った気がした。
右腕と左足を覆っているギブスが煩わしい。4人部屋のここには私しか居ないんだけど。

「お母さんたち別の病室に居るのかな…いたっ!」

右腕のギブスをベッドの枠に間違えてぶつけてしまった。

「逝くなら私も連れてって欲しかったのに…」

腫れた目からまた涙が零れ落ちる。あれだけ泣いても涙って枯れないんだなぁなんて少し冷静な部分も出てきた。

「湊っ!!みなとぉ…」

一昨日はあんなに楽しかったのに
そばで笑い合っていたのに

「なんで私を此処に置いてったの?湊となら天国でも地獄でも一緒に逝きたかった!!!」

砂糖みたいな優しい微笑みをする湊は
もう
居ない…
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