ティッシュに涙と少しの残骸
「結婚式挙げられなくてごめんな」
「いいよ、親孝行出来たしこれから何かと物入りだし」
「そうだよな。今度アパート見に行こうか」
「賛成!」

うきうきしながら窓を開けると後方に私の両親と湊の両親が乗ってるシルバーのワゴン車を確認して手を振ったらお母さんが振り返してくれた。

「雪奈毎日ご飯作れんのか?早起きもしなくちゃならないし、掃除や洗濯もあるんだぜ」
「料理は私やるけど掃除は湊担当なんだからね。洗濯は交代」
「いつ決めたんだよ!?」
「1週間前かな。ちゃんと当番表も作ったよ」
「相変わらずちゃっかりしてんな。はいはい、わかったよ」

目を合わせて微笑みあった。砂糖みたいな甘い笑顔が一番大好きなの。もちろんどんな湊でも好きなんだけどねっ。
なんてこんなこと今更面と向かってなんて言えなくなっちゃったなぁ…

17歳から8年間
ずっと湊と一緒だった
今までも
そしてこれからも

人生の中できっと今が一番しあわせなんだろう、と湊の手を強く握りしめた。
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