ティッシュに涙と少しの残骸
携帯を握りしめたまま眠っていてお母さんに叱られた。制服とコートを着込み携帯をポケットへ入れようとしたら電話がかかってきた。

【おはよ―】
「…一緒に学校行こうよ」
【じゃ今出るから】

あの日以来雪は降るけど積もらなかった。今朝は霜が降りていて空気がぴしっと寒い。
由紀が左手の方から現れてロングヘアーを揺らしながら近付いてきた。

「おはよ、今日休むかと思って心配したの」
【だからわざわざ電話したんだ?】
「うん、星流が良ければ由紀が側に…」
【真雪からメールこなかったよ、いつもならすぐ返すのにさ】

由紀の言葉を遮って愚痴をこぼした。足並みを揃えて歩いてた私より少し小さい由紀の足が止まった。

「真雪はもう居ないよ。辛いかもしれないけど現実を受け止めなくちゃ」
【何言ってるの?学校行けば会えるよ】

私は由紀より少し早く歩く。由紀の歩幅より少し大きく足を広げて歩く。
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