ティッシュに涙と少しの残骸
窓から初夏の匂いを風が運んできてジャスミンの薫りと混ざる。
風が星流の豊かな黒髪を微かに揺らした。

「星流は医者になるのは嫌なの?」
【よくわかんない…】
「じゃ自分がしたい事探しながら勉強すればいいんじゃないかな?これからは個人学習って事で♪」

正直、星流の成績は前より落ちていた。理由はあたしに勉強を教えて予習、復習をする時間がなかったから…
星流はあたしの一番でいて欲しいの、この先ずっと。あたしが星流を越す事は、あたしが許さないから。

【そだね。真雪すごい、ありがとう】
「お礼をゆうのはこっちだよ。いつもありがとう」

顔を見合せ、てへへと笑い合う。

「あたし星流の事一番好き」って
危うく言いそうになり慌ててカフェオレを喉に流し込んだ。

「っ…ふぅ」

蓋を閉め再び漫画を読み始めた。
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