ティッシュに涙と少しの残骸
さわさわと風が吹いて草の匂いが鼻腔に侵入してくる。夏の匂い。
空を見上げると満天の星空、雲ひとつない。シチュエイションはばっちり!
あたしは左手の中に有るペンダントを軽く握り存在を確かめる。水辺だから風が涼しくて心地良い。

【真雪!】

来た来た♪

「星流!こっちだよ」

右手を挙げて星流に居場所を知らせる。少し息を弾ませながらあたしに駆けてきた。

【はあ、はあ、待った?】
「ううん、降りてこっか」

星流の左手を掴み土手をゆっくり降りてゆく。

【こんなとこ有ったなんて知らなかったよ】
「あたしも。星流とウチの中間くらいの場所だね」

河原へと近付き2人星空を見上げた。

【すごい綺麗!晴れてよかったね】
「見えるかな?」

星流は遠くの星空に指を差し説明してくれる。

【多分あれがアルタイル。であっちがベガで…、デネブはあれかな?】
「デネブって何?」
【白鳥だよ。織姫は白鳥の背中に乗り天の川を渡って彦星に会いにゆくんだよ】

天の川が織姫と彦星の再会を喜ぶようにキラリ、キラリと光を放っている。
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