ティッシュに涙と少しの残骸

星流
星流
せ い る


逢いたい
逢いたい
…逢いたいよ

無我夢中でペダルを漕いでたらエプロンの左ポケットから携帯の着信音が鳴っていた。

｢はい…｣
｢真雪ちゃん！ごめんね、戻ってきてくれないかな？｣

店長の悲しい声が耳に木霊した。

｢すみません…あたしが悪かったんです。今戻りますから…｣

店長の返事を待たずに携帯を畳んだ。
自転車を半回転し、店長の待つ本屋へと戻る。




｢お疲れ様、あがっていいよ｣
｢はい…｣

店長を困らせてしまいまともに顔が見れない。全部自分が悪いのに店長に嫌な思いさせている。

｢真雪ちゃんほんとにごめんね。星流ちゃんに会ってないから不機嫌なんだよね？｣

どうしてこの人は
こんなに優しく
あたしを理解してくれるのだろう

｢店長って優しすぎ！リックさんヤキモチ妬くよ！｣
｢ちょっと！こらっ！｣
｢あははっ♪お疲れ様でした～｣

心配かけちゃダメだ。すごく良くしてもらってるのにね。