一生懸命でした。
第一章
遠く青い空。
雲1つ無い青空の下、薄桃色の桜が満開に咲いている。
桜の花びらたちは、春の暖かな風に吹かれて、なびいている。
足元には、赤、黄、紫の小さな花々が咲いている。
今日から高校生になるワタシの目には、全てが輝いて見えた。
ワタシは立ち止まり、たくさんの空気を吸い込んだら、ワタシの心は夢や期待でいっぱいになった。
「あの……」
背後から、いきなり声がした。
ワタシは驚いて、勢いよく振り向いた。
その瞬間、我に返り、急に恥ずかしさが込み上げてきた。
「あの、ちょっといい?」
声をかけてきた男の子は、ワタシと同じ制服を身にまとっていた。
「同じ学校の人だよね?」
「はい」
「迷っちゃって…。
道、教えてくれない?」
新入生なのだろうか。
制服が今にも、パリパリと音をたてそうなくらい、輝いている。