雪花白狐姫伝
「ヨモ……あ!ああ……っ」
全部、思い出した。
天気雨も、狐のお面の子供も、嫁入りの光景も、迫られた選択のことも。
「この世界の食べ物、ヨモツヘグリを食べてしまったヒトは、僕たちと同じような存在になるんです。つまり……ふつうのヒトには見えなくなって、ヒトの世界で暮らすことができなくなります……」
「そんな、それじゃあ……」
「お姉ちゃんは、お兄に嫁入りして神様になるか、お兄にいけにえとして喰われるか、選ばなきゃいけません……」
「へ?神様?喰われるって、どういうこと……なの?」
「お兄は妖孤の中でも特に強い力をもって生まれてきました。そういうのは700年に一度あって、生まれてから200年目に神々の世界に迎え入れられます。ただ、それには条件があって……お兄一人じゃ駄目なんです。日本の名のある神様はたいてい夫婦なんです。だから、まずはお嫁さんが必要です」
「そ、それじゃあ、いけにえっていうのは?」
「お嫁さんのかわりです。お嫁さんは、ヒトでも妖孤でもなれますが、いけにえはヒトだけです。ヒトにある霊力を喰らうんです。そうすれば、お嫁さんがいなくてもお兄は神になれます。違いはぁ……お嫁さんなら、長く神として生きることができます。いけにえだと、お兄は神にはなれますが、お姉ちゃんも死んじゃいますし、お兄もあまり長く生きられません。あ、でも……こっちのほうがより強い力をもてるそうです」
「霊力って?」
「ヒトだけが持つ魂の力です。お姉ちゃんの霊力は純粋で、綺麗で、高潔で、大きくて……すごく美味しそうです」
「お、おいしそうなんて言わないでっ!わ、私は食べ物じゃないんだから!」
「ふぇぇ!?ご、ごめんなさいっ」
全部、思い出した。
天気雨も、狐のお面の子供も、嫁入りの光景も、迫られた選択のことも。
「この世界の食べ物、ヨモツヘグリを食べてしまったヒトは、僕たちと同じような存在になるんです。つまり……ふつうのヒトには見えなくなって、ヒトの世界で暮らすことができなくなります……」
「そんな、それじゃあ……」
「お姉ちゃんは、お兄に嫁入りして神様になるか、お兄にいけにえとして喰われるか、選ばなきゃいけません……」
「へ?神様?喰われるって、どういうこと……なの?」
「お兄は妖孤の中でも特に強い力をもって生まれてきました。そういうのは700年に一度あって、生まれてから200年目に神々の世界に迎え入れられます。ただ、それには条件があって……お兄一人じゃ駄目なんです。日本の名のある神様はたいてい夫婦なんです。だから、まずはお嫁さんが必要です」
「そ、それじゃあ、いけにえっていうのは?」
「お嫁さんのかわりです。お嫁さんは、ヒトでも妖孤でもなれますが、いけにえはヒトだけです。ヒトにある霊力を喰らうんです。そうすれば、お嫁さんがいなくてもお兄は神になれます。違いはぁ……お嫁さんなら、長く神として生きることができます。いけにえだと、お兄は神にはなれますが、お姉ちゃんも死んじゃいますし、お兄もあまり長く生きられません。あ、でも……こっちのほうがより強い力をもてるそうです」
「霊力って?」
「ヒトだけが持つ魂の力です。お姉ちゃんの霊力は純粋で、綺麗で、高潔で、大きくて……すごく美味しそうです」
「お、おいしそうなんて言わないでっ!わ、私は食べ物じゃないんだから!」
「ふぇぇ!?ご、ごめんなさいっ」