俺様王子のお姫様
―グイッ

私は後ろから誰かに
引っ張られた。

目を開けると私の前に
立っていたのは高石優。
その前に倒れていたのは
秀だった。

一瞬の事で、何が
起きたかわからなかった。

「大丈夫か?」
高石優は息切れしていた。

「こいつ誰だよ」
秀は高石優ではなく、
私に聞いてきた。

「…」
怖くなって私は前にいた
高石優の袖をつかんだ。

「空、聞いてんのか」
「お前朝の電話の奴?」
高石優は秀に聞いた。
「…そっちこそ。
朝、空に何したんだよ」

「キスしただけだよ」
「は?」
高石優はそう言うと
私の腕を引っ張り
歩きだした。

「え…ちょ…」
後ろを振り向くと
秀は立ち尽くしていた。
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