嘘つき彼氏
「いくら殴っても悲しいのは悲しい」
「何を急に。麻里菜らしくない」
香奈は屋上のフェンスに寄りかかった。
「あたしは、この海堂学園だけは絶対に守る」
「普通は逆っしょ?」
「っるせー」
香奈の服を掴もうとした瞬間・・・
「おい!『デヴィル』はどこだ!」
勢い良く開けられた屋上の戸は半分壊れかかっていた。
「おいおい普通学校の真っ最中に来るかよ」
「でもここでタイマンはるわけにもいかねー」
今はあたしと香奈しかいない。
相手は制服を見る限り、隣の雄貴学園だ。数はざっと50くらいか?
「みなさんここまでよく来られましたね」
「ったりめーだ。『デヴィル』をぶっつぶすためなら何でもすんだよ」
トップらしき人が喋るたびに、罵声が飛び交った。
「ここでケンカしてやってもいーが、先公どもが来ても知らねーぞ?」
「上等じゃねーか」
あたしは人差し指を立て、上下に揺らし合図をした。
「かかってこいや」
「調子に乗ってんじゃねーよ!!」
相手が殴りかかってこようとした瞬間、誰かが真ん中に入って来た。
「お前らこれ以上俺の女いじめてっとただじゃおかねーぞ」
「誰だよ!!邪魔すんじゃねーよ」