初恋
第1話―出会い―
「うそ…」
春、桜台高校では新学期に伴い、
クラス替えをしていた。
そこに、いきなり不安を抱えている女子が1人。
樋口美紗。
友達はいるが、どこか一線を引いていて、未だ親友はいない。
そんな彼女は何に不安を抱えているのか…
それは、彼女の席の隣の男子にあった。
(水野…隼人?!)
そう、彼、水野隼人は桜台高校一の人気者である。
そんな彼の周りには必ず人が大勢集まるのだった。
…となると、彼女の席にも拡大しているわけで…
(近づけないよ!しかも、すでに誰か座ってるし!!)
そうして、カバンを抱えながら冷や汗をかいていると、
「あ、ごめん!君ここの席?」
と、突然声を掛けられた。
「ぅお?!」
声を掛けてきたのは、今まさに美紗の席に座っていた張本人。
隼人の次に人気者の神永広樹だった。
「ちょっ、何その反応!すっげー面白いんだけど!!」
「えぇ…え、あ…」
「広樹、何困らせちゃってんだよ、座らせてやりなよ」
「あ~ごめんごめん!どうぞ~」
何だかんだで注目を浴びてしまっている美紗は、
背中に嫌な汗が流れるのを感じながら席についた。