初恋
時間はあっと言う間に過ぎ、只今お昼。
(今日は何処で食べようかな…)
と、美紗はすでに1人で食べること前提に場所を考えていた。
(そうだ、屋上に久しぶりにいってみよ)
美紗は出口に向かった。
そして、右に歩き出そうとした途端、
ドンッ
と誰かにぶつかり、その場に尻餅をついてしまった。
と、同時に手に抱えていたお弁当が飛ばされてしまった。
「ごめん!大丈夫?」
「ってて…大丈夫です」
「何やってんだよ隼人!って、美紗ちゃんじゃん」
「え…広樹君と隼人君」
どうやら美紗がぶつかったのは広樹と隼人だったようだ。
「ごめん、樋口さん、痛かったでしょ?」
そう言い、隼人は美紗の手を取り、その場に立たせた。
「うわ~樋口さん羨ましい~」
「あたしもやってもらいたい」
など、教室のあちこちから女子の声が聞こえる。
美紗は自分に注がれる視線に耐え切れず、
俯いてしまった。
(うわー恥ずかしい!)
「美紗ちゃん大丈夫?」
「え!…あ、大丈夫です!!」
「あ、でもお弁当が…
きっと今のでシャッフルされちゃってんじゃない?」
「購買で買うんで、大丈夫です!」
「え、でも、この時間ならもう…「大丈夫です!それじゃあ!!」
美紗は視線に耐え切れなくなり、思わず隼人の言葉を遮って教室を出てきてしまった。