やんちゃ姫と腹黒王子
「…あぁ。」
「……」
「……」
「……」
「……」
「…以上…ですか?」
正直拍子抜けした。
王子という地位なので、多少なりとも話術のセンスは有ると思った。だがどうだ?話術どころか、まともな会話さえ成り立たない。
これと見合いをしろなんて、父上様も厄介を押し付けたもんだ。
まぁ、話を進めていってコイツを知るに越したことはない。
「…あの、王子?お名前を教えては…」
「レイだ。」
「…は?」
「…だから、ウィンドミル・レイ・カロンだ。
…レイと呼んでくれればいい。」
レイは早口でそう告げると面倒くさそうに踵を返した。
…なんか感じが悪いぞ、おい。
「…やっぱ父上様は地獄行きにして差し上げましょうかね?」
私の呟きは、会場の騒がしい空気に薄められ、誰の耳に届くこともなく消えていった。