やんちゃ姫と腹黒王子
「おぉ、そうだサラ。お前も今日は暇じゃろう?」
「…えぇ、まぁ。」
勝手に人の予定を決めつけないでほしいが。
「じゃったら、レイに手合わせを頼んだらどうじゃ?」
大変嬉しそうな顔で語りかける父上様だが、私は知っている。あの笑顔の裏には必ずしも何かが隠されていることを。
まぁ、それに乗れば面白い体験ができるので私はいつも乗っているがな。
「…望むところでしょう。
それでは、10分後に武道場に居らしてください。そこで一つ、お手並み拝見とさせていただきます。
よろしいですね?」
「……」
問いかけた相手は、無言で目も合わさない。
「…あの、レイ様?」
「あ、あぁ。俺?」
…本当にこの方は一国の王子なのでしょうか?
「えっと、10分後に武道場…だよね?」
「えぇ。お忘れの無いよう、よろしくお願いいたします。」