やんちゃ姫と腹黒王子
┣ 挨拶
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「爺?何処にいるの、爺。」
私がそう呟いてものの二秒。
「御呼び致しましたでしょうか、姫様。」
音もなく爺は私の目の前に現れた。
深々と頭を下げて。
「呼んだわ。
リオンは何処にいるの?」
リオンとは、私の幼馴染みでこの国一の仕立て屋だ。
「リオン様は今、王様のお召し物の調整に行っておられます。」
…面白くない。
もうすぐ私の誕生日パーティーが始まってしまうのだ。
だからそれまでに手合わせを願おうと思い、捜していたのだ。
「父上様は調整に時間のかかるお方だから…。
諦めるしかないのでしょうね…。」
少しがっかりした表情を浮かべてみると、爺はとても慌てふためいていた。
でもすぐに何かを思い付いたようで顔を輝かせた。
「それでしたら姫様?
一足先に会場に行かれてはいかがです?
いい婿様が見つかるやもしれませんぞ!!」