やんちゃ姫と腹黒王子
爺の表情は嬉々としている。
私の心情とは裏腹に。
「嫌ですわ。
どうして自分より弱い相手と結婚しなくてはならないのです?
せめてもの条件がそれですわ。」
まぁ、今までこの条件をクリアしたものは一人もいないけど。
「そんな!!
爺は姫様に勝てるお相手などこの世にいるとは到底思えません!!
ですからそのような条件をだして駄々をこねるのはお止めになってください!!」
「…時間だわ。」
そう呟いて部屋の北側にある大きな扉を開ける。
「リオンに会いに行きがてら父上様をお迎えに行って参ります。」
まだ爺が後ろで何かを叫んでいたが、気にせず扉を閉めた。
これ以上爺が熱くなると、
本気で誰も手がつけられなくなる。
一度、父上様が『娘は誰の嫁にもやらん』と発言したら、爺に本気で怒られていた。
国王なのに、だ。
そんな爺を敵に回すと何があるのかわからないので、基本爺には逆らわない方がよい。
私がこの16年間で一番感じ取ったことだ。
…不意に後ろに気配を感じた。
振り向こうとしたが、体が動かない。
どうやら首を固定されているようだ。云わば、首締めのような状態である。
…こんなことをこの王宮内でするのはアイツしかいないか。