やんちゃ姫と腹黒王子
「お相手は隣のセンリース国の王子様。」
"王子様"
昔から女子というものはその言葉が大好きらしい。何でも白馬に乗って颯爽と現れるとか。
「私は王子なんか嫌いだ。」
「まだ会ってもいないのに決めんなってー。建国以来一のイケメン天才王子らしいぜー?」
「却下です。興味をそそられません。」
イケメンだから会ってみたいとか、天才だから話してみたいとか、生憎そんな可愛らしい精神は持ち合わせていない。
だから会う理由もなければ、話す理由もない。
よってこの見合いは無意味だ!!
「「「サラ姫様!!」」」
「ぅえぃ!!
…失礼、皆さま方、お集まりになられてどうかなさいましたか?」
いきなり大勢に話しかけられたからビックリして変な声が出ちゃったじゃん!!
「お前の切り替えの早さは本当、尊敬するわー。」
「父上様?何かおっしゃいましたか?」
「ん?なんでもないぞ。いいから彼らの話を聞いて差し上げなさい。」
「…はい。」
小声で言ったつもりのようだがな親父、生憎私は地獄耳なんだよ!!
「皆さま方、どうなさったのです?」
まぁ、大体話の見当はついているがな。
「「「僕と結婚してください!!」」」
やっぱり。
最初から誰とも結婚する気はなかったが、即答と言うのも失礼だろう。なので二、三秒の間を置いて、
「お互いのことをよく知らないので…。これからお友達として、関係を深めて参りませんか?」
困惑した笑顔でそう語りかけられれば、勿論答えは「YES」だ。
男は単純すぎて面白い。逆に女は面倒くさくて握りつぶしてやりたい衝動に駆られてしまう。
やったことはないが。